備えあれば憂いなし

相続人が海外に住んでいる場合


現代では、日本人も世界中の至るところに住んでいます。
アメリカやアシア近隣諸国だけではありません。
文字通り地球の裏側に住んでいる方たちも多くいます。
さて、親族が突然の不幸で亡くなった場合、相続の問題が発生します。
法定相続人として話し合いに参加すべき親族が、皆ご近所に住んでいれば良いです。

しかしこれが東京と沖縄に分かれて住んでいたら、実際に皆で話し合うだけでも一苦労というわけですね。
この住まいの距離が日本と海外になったらどうでしょうか。
つまり、法定相続人として協議に参加すべき家族の一人が海外に在住していたら、どうすればよいのでしょうか。
海外居住者を交えて遺産分割の協議を始めることができるのでしょうか?
結論から言えば、海外に住んでいるその方が日本国籍であるならば、遺産分割協議に参加することが可能です。
協議の仕方などが大きく変わるわけでもありません。
いくつか揃えるものがあるだけです。

それはどんなものでしょうか。
①サイン証明書と②在留証明書です。
①サイン証明書とは何でしょうか。
あまり聞き慣れない言葉ですね。
日本では印鑑を使う場面で海外ではサインを使うことは皆さんにも広く知られている点でしょう。
海外に住んでいる法定相続人が、もし日本に住民票を持っていないのであれば、このサイン証明書を現地の日本領事館で取得する必要があります。
遺産分割の協議の際には関係者全員で遺産分割協議書の作成し、そこに署名と実印での押印をします。
そして重要な点として「印鑑証明」を添付することになります。
ここで日本に住民票が無い海外在住の相続人は印鑑証明を添付することができないわけです。

ここで先に述べたサイン証明書が必要になってきます。
海外に住む相続人が印鑑証明の代わりにサイン証明を持参し、遺産分割協議書が有効なものとされるよう取り計らう必要があるわけです。
実はこの協議書の作成するにあたっては、各人の住民票も必要になってきます。
②の在留証明書というものは、海外居住の相続人が日本の住民票の代わりとして提出するべきものです。
こちらもサイン証明書と共に現地の領事館で発行してもらえます。
いかがでしょうか。
いくらか面倒な点はあるとはいえ、海外に居を構える法定相続人もしっかりと遺産分割の協議に参加できることがわかりましたね。