備えあれば憂いなし

相続人の中に安否不明者がいる場合


相続の問題に関して心の準備も知識の準備もしておけるならばそれに越したことはないですが、往々にしてそうした瞬間は思いもよらないタイミングで訪れるものです。
関係者全員が揃って話し合いを進められるなら良いですが、中には法定相続人のうちの一人が行方不明になっているというケースもあるようです。
そのような時安否や行方が不明になっている相続人の権利はどうなるのでしょうか。
また相続に関する話し合いはどのように進められていくのでしょうか。

基本的に遺産分割の協議は、関係する法定相続人全員で協議する必要があります。
ですから安否不明になっている相続人を無視して勝手に相続協議を進めることが出来ません。
しかしそれならば相続問題は頓挫してしまうことになります。
一体どのように事を進めることができるのでしょうか。

実はこのような場合不明になっている相続人に関して家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任申し立て」をすることができます。
少し難しい言い方ですが、簡単に言えば裁判所を介して、不明者の代理に適した人物を任命し、相続の協議を進めるということになります。
どのような人物がこの管理人に適任とみなされるのでしょうか。
親戚の一人になってもらうことが可能です。

ただし行方不明になっている相続人と、その管理人候補の親戚の間に利害関係が存在するならば家庭裁判所の許可がおりない可能性もあります。
そのような場合には裁判所は不在者財産管理人として弁護士を選ぶ場合があるでしょう。
いずれにしても家庭内に安否の不明な人がいるならば、そして相続問題が将来的に発生することがわかっているならば、早めから安否不明者の行方を追い、連絡が取れるようにしておくことがなにより一番です。
もしそれが難しいならば、こうした相続問題の物事の進め方を熟知しておき、いざという時にスムーズに協議に入れるように心構えをしておくべきでしょう。
そしていつでも頼れる専門家を見つけておくことも助けになるでしょう。