備えあれば憂いなし

相続人調査について


多くの遺産を持つ人が亡くなると、その莫大な遺産をどのように分割してゆくかが大きな問題になります。
想像に難くないことですが、時として相続問題は相続争いへと発展することすらあります。
ですから、誰が本当の相続人なのか。
どのように分割するのが正当なのか。
よく調べてから協議を始めるべきなのです。

そうでなければ、せっかく協議した内容も一からやり直しという結果になりかねません。
さて、それほど複雑な家庭でなければその子供達は「相続人はぼくらだけなので調査する必要なんてないですよ?」と言いたくなるでしょう。
調査と聞いただけで大変そうなので気持ちはわかりますが、自分たちが本当に正当な相続人だと世間に証明するためには、相続人各人の戸籍が必要になります。
相続人調査とは戸籍集めだと言っても過言ではないほどです。

きちんと相続人調査がなされていなければ、せっかく皆で協議して決めた遺産分割が無効になってしまう可能性すらあるのです。
さらに故人が残してくれた財産を法的にきちんと相続人の名義に変更するためにも相続人調査は必須です。
金融機関や法務局などで名義変更を断られないためです。
さらに相続人調査とは法定相続人の戸籍集めに奔走するだけでなく、故人の、生まれてから死ぬまでのすべての戸籍を集める必要があります。

これが大変です。
「全ての戸籍」とはどういう意味でしょうか。
実は戸籍とは一人の人間につき一つというわけではありません。
今現在の戸籍を「現在戸籍」と呼びますが、それ以外に過去のものがたくさんある可能性があります。

例えば法律の改正によって様式変更があります。
平成に入って変更がありましたし、昭和の初期にも変更がありました。
そうした歴代の変更に伴う複数の戸籍すべてを集めなければなりません。
さらに手のかかることに、故人が本籍を色々と移したことのある人ならば、それぞれの移転先の役所に戸籍を請求しなければいけないというわけです。いかがでしょうか。
相続人調査は遺産の相続に欠かせない大切な作業ですが、自分だけですべてを行なうにはあまりに膨大な仕事なのです。