備えあれば憂いなし

未成年者でも遺言は残せる?


遺言と聞くと、年配者が書くものというイメージがあるかもしれません。
しかし民法の第960条には興味深いことが書かれています。
「15歳に達した者は、遺言をすることができる」
15歳で遺言ですか。
これはあまり聞いたことがないですね。
しかし民法で定められているということはこういったケースがあるということですね。

実際18歳くらいでも不動産などの財産を所有しているというケースは多々あるでしょう。
そのような人が色々と考慮して遺言書を作成することが妥当だと判断する場合があるかもしれません。
普通未成年者は単独で法律行為を行なうことができません。
法定代理人、後見人の同意の元でなければ法律行為ができないのです。
ところがこの遺言に関してはその未成年者の意思で単独で自由に行なうことができます。
逆に法定代理人であろうと、また親であろうと、未成年者の代理で遺言をすることはゆるされていません。

実際過去には自分が重い病気にかかっていることを知った未成年者が両親や兄弟に向けて愛情のこもった遺言を作成した例などもあります。
もちろんそうは言っても未成年者が遺言書を作ることは希でしょう。
しかし人生の中でいつなにが起こるかはわかりませんから、若い人でもこうした点を真剣に考える方も多くいらっしゃることでしょう。
また未成年者が遺言を残したいと思う場合、なかなか家族には相談しにくいという場合もあるでしょう。
世の中にはこうした相続から遺言の作成まで扱っている専門家がたくさんいますので、そうした人たちに相談して作成を進めていくことができるでしょう。

遺言というのは一人の人間の最終的な意思表示の機会です。
まさにこの理由で、遺言だけは未成年が自由に行える法律行為として認められているのです。
どんなに若くて元気でも、たった一度の事故で命を失う可能性があるわけです。
遺言が自分がこの世界に、また愛する家族に残す最後の意思、メッセージと考えると、早いうちから真剣にこうしたことを考えることは未成年者にとっても大切なことかもしれませんね。