備えあれば憂いなし

自筆遺言書の筆跡鑑定について


「遺言が偽造されていた」などということは推理小説の中だけの話しだと思うかもしれません。
しかし現実にも手元にある自筆証書遺言が本当に故人本人が書いたものかどうか疑わしいという事態が生じることがあります。
遺言の内容からして故人の意思とは考えにくいという場合もあるでしょう。
また筆跡そのものが故人のものと違っているという場合もあるかもしれません。
そのような場合に法定相続人たちは、その遺言書が本当に故人が作成したものかどうかをしっかりと調査する必要があると感じるかもしれません。

そして遺言無効確認訴訟を起こすかもしれません。
では遺言が本当に故人の自書かどうかはどのように判断するのでしょうか。
中心となるのは筆跡鑑定です。
皆さんもう想像がつくと思いますが、筆跡鑑定を行なうのですから、必要なものは故人の生前の筆跡がわかるものです。
故人の日記でもいいです。

その他書簡があればそれでも大丈夫です。
とにかく関係者皆が問題なく「これは故人の筆跡のものだ」と納得できるものであればいいわけです。
そこで納得できなければまたそこで別の争い事が生じてしまいます。
時々父親が残した遺言をめぐって肉親である兄弟間で争いが置き、遺言の文字が本当に父のものであるかを鑑定するという事態も生じる。
こうした展開は非常に暗くつらいものですが、適正に相続を行なうためには必要な処置なのです。

そもそも故人が第三者に代筆を依頼したりしていれば、仮にそこに書かれているのが故人の意思であるとしても、自筆証書遺言としては不適正な作成の仕方であり、遺言としての効力もなくなってしまう。
こうしたことを踏まえると、自筆証言遺言を作るときには、作成の仕方に気をつけて作ることが必要です。
自筆遺言の無料相談センターなどもあるのでそのような機関を活用するのも良いかもしれません。
また相続人の立場であるならば、遺言の内容のみならず筆跡に疑いがあるような時には、面倒でも筆跡鑑定をすることが最善でしょう。