備えあれば憂いなし

非嫡出子の相続について


時代が移り変わるにつれて、日本の男女の常識も変わりつつあります。
現代では結婚前に妊娠、出産というケースも全く珍しくなくなりました。
もちろん結婚前に生まれた子供とその後も親子三人仲良く生活を始める場合も少なくないでしょう。
一方で、シングルマザーの増加も社会現象になっています。

シングルマザーと言っても色々な状況の方がいるようですが、中には交際中に妊娠、出産し、父親の男性とはそのまま結婚することもなく、母親一人でその子供を育てていることもあります。
このように法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子供のことを非嫡出子と呼びます。
逆に法的に婚姻関係にある男女の間に生まれて子供は嫡出子と呼ばれます。
また養子となった子供も嫡出子となります。
例えば父親がいない非嫡出子は基本的に母親と同じ戸籍に入ります。
母親の親権によって保護され、また将来的には母親の残す財産を相続する立場になります。
しかし現在の法律では、非嫡出子は嫡出子と相続の面で差があり、問題に発展することもあります。

具体的にどのような差があるのでしょうか。
簡単に言うと、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の半分です。
このことがどのように問題になるケースがあるのでしょうか。
例えば母一人と男の子二人の三人家族がいるとします。
長男は母親が未婚のまま生んで育てた子供、つまり非嫡出子。
次男はその後別の男性と結婚してその男性との間に生まれた嫡出子だとします。
その後母親は夫と離婚していたとします。

さて、この母親が亡くなった場合、それまで同じように仲良く母親と暮らしてきた長男と次男で、法定相続の配分が異なってくるわけです。
前述したとおり、この場合、非嫡出子の長男は、嫡出子の次男の半分しか相続を受けられないというわけです。
それまで力を合わせて成長してきた兄弟が相続をめぐって争う結果になるならそれは大変苦しい思いを両者にもたらすことになるでしょう。
こうしたことを考慮するなら、子供への相続に関して、生前からきちんと情報を整理し、話し合っておくことは非常に大切なことであると言えるでしょう。