備えあれば憂いなし

相続人の廃除について


家族内のトラブルというのは世界中どこでもあるものです。
決して癒し得ないほど肉親同士の憎しみが大きくなってしまう場合もあります。
兄弟姉妹間のトラブルだけではなく、子供たちのうち一人だけが、親との関係が極端に悪いという場合もあるでしょう。
状況は様々ですが、そういった親族内のトラブルゆえに、また他の様々な事情ゆえに、将来遺産を相続する権利が失われるということが有り得るのを皆さんはご存知でしたか?
どのような場合に相続人の権利が剥奪される可能性があるのでしょうか。
それはどのような過程で進められていきますか?
ご一緒に見てみましょう。

例えば妻と三人の子供たちを持つある父親に、あとに残せる十分な財産があるとしましょう。
しかし子供のうち長男は甚だしく非行に走って家族、特に父親に大変な迷惑をかけます。
もちろん父親は辛抱強く長男に接してきましたが、ついに我慢の限界に達し、長男から遺産の相続権を奪うかもしれません。
これが「相続人の廃除」です。
被相続人(遺産を残す人物)に虐待を加えたり、重大な侮辱を与えた場合や、その他著しい非行があった場合にこうした処置が取られることがあります。
どのようにしてこの手続きは進められてゆくのでしょうか。

いくつかのケースが考えられます。
例えば被相続人が生前に家庭裁判所に申し立て、相続権を廃除する申請をする場合があります。
その後裁判所で調停または審判により審理されてゆきます。
あるいは被相続人の死後、遺言によって廃除の意思が確認されることもあります。

いずれにしても相続人の廃除の背後には大変な家族の問題が存在していることでしょう。
家族はこのような制度があることをあらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
相続権は決して安泰なものではなく、失われてしまう可能性があるのです。
そのような事態にならないよう、家族内のトラブルは早いうちに話し合い、将来的に相続問題で激しい闘いが巻き起こらないようにしたいものですね。